美術館へ行ったりしなくても、なにげに出逢うアート的なものにハッとして驚くことがあります。人口のモノでも自然のものでも、あるタイミングでご対面した美しい形や変わった存在、見慣れぬものがごく普通の所にポンと居たりすると、なんだこれは!と驚くと同時にキレイだな〜面白いな〜と思ったりすることがあります。
ライブアートが好きなのは、そんなライブ感や驚きや即興性が面白く楽しく、ときめくからです。毎日同じことをしていたら、飽きます。同じ生活パターンの中に少しでもいつもと違うコトがあると楽しいものです。それは別にアートではなくともいいのですが、アートが好きならきっとこんなことを思う人がいるのではないでしょうか。
アート作品を展覧会で観るというのはごくあたりまえのアートの鑑賞方法。アートに出逢える効率のいい方法だと思います。だけど少し堅苦しく思うこともあったりします。誰かに観てもらうところに意識とエネルギーが向いて、どちらかというとそのことに向きすぎるきらいもあったりです。
誰も観ていなくても独りで絵を描いて楽しむことがあるように、インスタレーション的にライブアートできたら面白いだろうと思ってやってみたことがあります。
上の写真は金沢市でのある日、自称「自転車アート」と称してアートライブをした記録写真です。自転車に片手で「くらげテント」を収納した状態で持ち、リュックに紐や小道具を入れママチャリで裏道へ、大通りや信号を避けて犀川に降りるコースを通って河川敷の道を行きます。気に入ったところで即席インスタレーションを瞬間つくります。折り畳んだくらげテントを広げ設置します。撮影し、数分しばらくして撤去。そのまま移動して別の場所を探します。
一番下の写真は香林坊の地下道の交差点のような広みです。自転車アートのことを人に話したら、じゃあ今度は町中でしましょうよ!というノリのいい人でしたので、やってみようということになりました。
ハプニングに近いというか勇気を出してやってみました。速攻で監視カメラでみていた、中央公園入口のおまわりさんがやって来ました。
「許可はとってますか?」「いいえ取ってません」「すぐ撤去してください」「撮影だけさせてください」「だめです、すぐ片付けて行ってください」と言い残し帰ってしまいました。
3人チームで組織だって撮影もしたいな〜と、せっかくビデオカメラと三脚や折り畳み椅子をセッティンしたところでしたので、すぐと言われましたが、数分居座って撮影だけはしました。
地下でセッティングしている場所は大和アトリオにつながる地下通路の真ん中です。それほど多くはありませんが通行する人はいました。何かやってるけれど、特に危険なことでもなさそうだとは思われていたのだと思います。
ただしこの状態をアートだと思って見ているひとがいたのだろうかと思います。何かのイベントの催し物の設営に来ているバイトの連中だろうとおもっていたのかもしれません。などと意識しながら取り付けていたのを記憶してます。
なぜか、アートするとは日常のことではなく、何か特別な所か特別な状況で行うものという前提がスタイルが一般的にあるのだとおもいます。そういう分かり切ったアートの型というか決まりコトのようなものが、無いとするととっても面白いステージが広がるのだと思います。
街中で突然アートをする場合のラクガキ、グラフィティも近い部分はありますが、跡形を残すのに意味がありそうで、アートの物を置いたり設置するのとはちょっと違います。
自転車アートで行ったようなことは、一瞬の即興性を作り出すという遊びであり、それまであった所には跡形は残さないプランです。その時だけ存在する「お供えもの」のようです。一日の時間軸で言えばほんの一瞬。時間は計っていませんでしたが、一カ所につき約20〜30分間のできごととして、一日の1/100程度の時間です。
犀川の河川敷では見ていた人はたった一人でした。偶然通りかかった自転車にのった外国人でした。あまり人が通らない河川敷をわざと選んでいましたが、それでもたまたま通りかかったその人は驚いていて、運転する自転車がぐらついていました。
誰が見ていなくてもアートして遊ぶぞ〜と思って、天気の良い日にいても立ってもいられなくなって出かけたまででした。そういうどうしようもない欲求があって、それができた時の気持ちよさはありません。
川ではちょうど良い風があったので「くらげ」も心地よく裾の布が
ゆらいだりしていました。時々強い風がからだごと揺さぶることもありました。みていると、「くらげ」が自分に置き換わる様になって心地よかったりもします。自転車アートで一番よかったのはこの河川敷の木にぶら下げた時だったかなぁ
写真は個展での「くらげ」の大きいテントです。直径は4メートルほど高さは4メートル以上。参加型というか、くらげテントの中に入るタイプのアートにしました。
同じく、個展の写真です。「Flower Room 2」というタイトルでした。本サイトにもすこし写真があります。よろしかったら。
http://www.blue2013.jp/gall/installation.html
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